スピードナット(押込みばね板ナット・プッシュナット)
製造

押込みばね板ナットとは

押込みばね板ナットは、軸にスラスト方向から差し込むことで相手物を抑え込み止める役割を持った部品です。
相手軸に爪部が引っ掛かり止まる構造となっています。
相手軸に溝を切る必要が無く、任意の位置で止めることができます。
JIS規格(JIS-B-1216)にも規定されており、広く使用されています。
形状により、角形ナット・丸形ナットなどの種類があります。

また、使用する製品のサイズや用途によって、JIS規格に無いサイズ・形状の押込みばね板ナットを特注で製造し使用する場合も多いです。
プッシュナット・スピードナットなどと呼ばれる場合もあります。

特長

山陽では、お客様のご要望に応じた、オーダーメードで押込みばね板ナットの製造が可能です。
製造メーカーからの直接販売ですので、製造メーカーの顔が見え安心してご依頼いただけます。
製品設計の際に、JIS規格や市販寸法で目的の押込みばね板ナットが、見つからないケースも出てくるかと思います。
オーダーメードですので、細かな仕様調整も可能です。
(例、サイズ、材質、異形状、表面処理、熱処理(硬度) 等々)

用途について

用途:自動車や建築、機械、家電製品、電子機器 など
材質:鉄、ステンレス など

製品事例

角形ナット

軸に対して押込み使用します

丸形ナット

軸に対して押込み使用します。

『こんなこと、考えられないか』 がございましたら、山陽営業部までご連絡下さい!!

スピードナットガイド:特徴、用途など

スピードナットの特徴

スピードナットの最大の特徴は、その内部構造にあります。通常のナットとは異なり、スピードナットは金属板をばね状に加工することで、ねじのねじ山を弾性力で強く保持します。これにより、ねじが自ら緩むのを防ぎ、振動や衝撃によるゆるみを抑制する効果があります。

また、スピードナットは工具を使わず手で取り付けられる場合も多く、作業時間の短縮に貢献します。材質が薄くて軽量なため、部品そのものの重量増加を抑えられることもメリットです。さらに、U型やJ型、ワイドレンジ型など、形状のバリエーションも豊富で、用途や取り付け部位に応じた選択が可能です。

特に自動車産業において広く利用されています。たとえば、内装部品の固定やバンパー、フェンダー、マッドガードの取付け部などに多用されています。また、家電製品の筐体部品の固定や、電子機器内部のスペーサー代わりにも使われることがあります。これらの用途では、短時間で確実に締結できるという特徴が非常に重宝されます。

特注が必要なケース

スピードナットは多くの標準品が市販されていますが、特注対応が必要となるケースもあります。たとえば、取り付け対象の板厚やねじのサイズが特殊である場合、標準品では寸法が合わないことがあります。また、耐食性や高温環境への耐性が必要な場面では、特殊材質での製造が求められるため、既存の在庫品では対応できないことがあります。

さらに、設計段階で省スペース化や軽量化を追求する際には、スピードナットそのものを図面に基づいて設計・製作することも少なくありません。その場合は、寸法、形状、ばね力、材質すべてにおいてカスタム対応が必要となります。

角形スピードナットと丸形スピードナット

角形スピードナットの特徴

角形(四角形やU型、J型など)のスピードナットは、平面の板材やエッジ部分に対してしっかりと挟み込むように取り付けるタイプです。クリップのように板の端を挟んで固定する構造になっており、相手部材に穴が空いていれば、工具なしで素早くセットできます。

このタイプは、部品自体が抜け止めの役割を果たすため、取り外しや再利用もしやすく、組立やメンテナンス性を重視する現場に適しています。主に、自動車の内装部品、家電のパネル固定、金属筐体の簡易締結などで使われています。

丸形スピードナットの特徴

一方、丸形(リング状やディスク状)のスピードナットは、丸穴に圧入することで軸を固定するタイプです。ナット全体が対象物にフィットするように設計されており、軸方向(ねじの回転方向)に対して非常に高い保持力を発揮します。

このタイプは、特に振動や回転が多い機械系部品、あるいはスペースの制約がある場所などに使用されることが多く、工業用途に向いています。また、部品の内側に隠れるようにセットされるため、外観への影響も少ないという利点があります。