圧縮ばね

圧縮バネとは

圧縮させることによる、反発力を利用したばねで、様々な機械部品として広く用いられています。また、衝撃や振動の緩和にも用いられています。
圧縮されることにより、主としてネジリ弾性エネルギーを蓄えるコイルバネです。
線材をコイル状に成形して製造し、太線のものは主に両端部を研削し製品を安定させます。
一般的な円筒型のものの他に、円錐型や不等ピッチのものなどがあります。

特長

製作が容易で、コンパクトな設計が可能です。

用途や材質について

用途:自動車、家電、建材、産業機器、農業機械など
材質:SWB、SWC、SWPA、SWPB、SUS304WPB等
線径:0.4~4.0

弊社の圧縮バネ加工では主にΦ0.4~Φ6.0の製品を取り扱っております。

動画で解説 圧縮ばね設計知識(機械設計者向け)

圧縮ばねの基本用語一覧

記号 単位 名称 内容
d mm 線径  線材直径
D mm コイル平均径  コイル外径と内径の平均。中心径ともいう。

ばね特性の計算に用いる径で、製作上の寸法指示は次の外径か内径にておこなう

Do mm コイル外径  コイル外側の径
Di mm コイル内径  コイル内側の径
Hf mm 自由高さ  負荷をかけてない、文字通り自由な状態のばねの長さ(高さ)
Na 有効巻数  ばね特性の計算に用いる巻きの数。ばねとして作用する有効な巻数

3未満では、バネ特性が不安定になるので、3以上とするのがよい

座巻  ばねとして作用しないが、ばねの座りを良くする目的で設けられる巻き

一般的にばねの両端に1巻きずつ設けられることが多い

Nt 総巻数  ばねの端から端までの巻きの総数 (総巻数=有効巻数+座巻)となる
巻方向  コイルばねのコイルの巻かれた方向 (右巻、左巻)
c ばね指数  ばね指数=コイルの中心径÷線径 (c = D/d)

一般的には、ばね指数が4~22(冷間加工の場合)の範囲で設定することが望ましい

p mm ピッチ  らせん状に巻かれている線材の巻き間隔。線材の中心から中心の距離。

圧縮コイルばねの場合、ばねとして作用する有効巻きがピッチをあけて巻かれている

ピッチは0.5D 以下とする

 

端末形状

形状 研削有無 図面 その他
クローズドエンド ・線径1mm以下の場合

・ばね指数が大きい場合

クローズドエンド ・端面を約3/4巻研削

・研削工程追加となりコスト高

・削る為の専用治具が必要と

なる場合がある

オープンエンド ・からみやすい

特徴

製作が容易で、コンパクトな設計が可能です。

反発力を必要とする箇所以外にも、衝撃や振動を緩和させるといった目的で用いられます。
自動車やデジタルカメラ、ボールペンなど文具や日用品、家電製品など身近な機械製品、精密機器など多くの製品に使われています。

製品事例

圧縮バネの製品事例をご紹介します。


圧縮コイルバネ 不等ピッチ
材質SWPB
線径φ1.0
巻数47
自由長106mm
表面処理 亜鉛メッキ(三価クロメート)


ボンネット用圧縮コイルバネ
材質SWPB
線径φ2.3
巻数10
自由長87mm
表面処理 亜鉛メッキ(三価クロメート)


円錐圧縮コイルバネ
材質SUS
線径φ1.0
巻数2.5
自由長6.5mm


円錐圧縮コイルバネ
材質SWPB
線径φ3.2
巻数5
自由長36mm
表面処理 なし

VE提案「からまないばね」の設計

事例1:中央部のピッチを変えて「からまないばね」の設計改善事例

圧縮ばねが「からみ」取り出しのタクトがばらつくため、標準タクトが守れないことから、現行品と同じ条件で「からまないばね」をつくれないかというお客様からのご要望があり、ばね中央のピッチを変えてからまない形状をご提案しました。

使用用途、相手品、ばね荷重、可動範囲をヒアリングし、トライ&エラーを何度もくり返し、お客様のご要望通りサイズ・仕様を満たした「からまないばね」の製作に成功しました。

山陽では、使用用途や相手品、ばね荷重、可動範囲などあらゆる点でのヒアリングを行い
ご要望にあったばねを設計いたします。

また、量産を見越した設計提案が得意です!
山陽にはばね技能士が20名おり、試作時から量産を踏まえて設計・加工が可能です。

成形後、メッキやジオメットの表面処理、ペイント、ショットピーニングも行っています。
圧縮バネの加工に関してはぜひ一度ご相談ください。
オンラインでの技術相談も承っております。